忍者ブログ
甘々、デレデレ、女の子。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「これ、待ちなさい!なごみ!」
長老の制止を振り切って、なごみちゃんは社を飛び出しました。そして、いちもくさんに村の入口へと走り出します。
それはもう、これでもかというほどの全力疾走です。
それほど大きな村ではありませんから、そんなに頑張らなくともアマテラス様には追いつけたでしょう。ですが、なごみちゃんは一生懸命走ります。
案の定、すぐに村の入り口の門につきました。そこでは、今まさにアマテラス様が村を後にしようとしているところです。
「お待ちください、アマテラス様!!」
なごみちゃんは力の限り叫びました。それはもう、これでもかというほど全身を使った素晴らしい呼吸法です。
「なんだ、なんだ。そんなに大声を出さずともちゃんと聞こえておるぞ。」
アマテラス様はびっくりしてしまいました。
すぐ目の前にいるなごみちゃんが、さもずっと遠くにいる自分に向って話すような大声をあげたのですから、しかたありません。
そのうえ全力疾走したせいで、なごみちゃんは息も絶え絶えです。びっくりもつかの間、なんだかあきれてしまいます。
「全く何をやっておるのか…。そこまでせずとも、社と門の間など目と鼻の先ではないか。」
アマテラス様の言う通りでした。
あんなに一生懸命走らずとも、アマテラス様には追いつけたでしょう。あんなに大きな声をあげなくとも、アマテラス様には聞こえていたでしょう。
ですが、なごみちゃんはどうしても全力疾走せずには居られませんでした。大声を出さずには居られませんでした。
自分の思いが伝わるように、精いっぱいやらずには居られなかったのです。
「もうあいさつは済ませたであろう。それとも、逢って三日と経たない私との別れがそんなに名残惜しいか?」
アマテラス様はちょっと冗談めかして言ったつもりでしたが、顔をあげたなごみちゃんを見て、またもやびっくりしてしまいました。
なごみちゃんの瞳にいっぱいの涙溜っていて、今にも零れ落ちそうだったからです。
「…当たり前です。当たり前ですよ。名残惜しいにきまってるじゃないですか。お逢いできたのは昨日今日かもしれませんが、ずっとずっとお祀りしていたんですよ?長い間、村をお守りしていただいてたんですよ?そんなアマテラス様を、おひとりで行かせるわけにはいきませんよ!」
泣き出しそうになるのをぐっとこらえながら、なごみちゃんはずずいと身を乗り出して言いました。自分の思いが伝わるように、精いっぱいの大声です。
「私もお供します!私をアマテラス様の巫女にしてください!」
 
こうして、なごみちゃんとアマテラス様の笑いあり涙あり神様ありの長い長い旅が始まったのです。
アマテラス様を祀るにふさわしい場所を求めて…。



以前3LDKが「ハルヒシリーズは二次創作ネタの宝庫である」みたいな話をしていたのですが、神話なんかもネタの宝庫であるなぁと思います。
カッコよく言うと、文章を書く上でのインスピレーションを与えてくれるモチーフが数多くあるという感じでしょうか。
しかし、こんなものでも書くのに一時間近くかかってしまうという恐ろしさ。
冬の原稿もこつこつやっていかないとまずいなぁと自覚しているところです。

というわけで今日のキーワードは「後の祭り」です。

拍手

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
[17]  [16]  [15]  [14]  [13]  [12]  [11]  [10]  [9]  [8]  [7
忍者ブログ [PR]